京都東山 重要伝統的建造物群保存地区内に佇む老舗旅館「玉半」。清水寺、高台寺、八坂神社、円山公園、知恩院、青蓮院、平安神宮、南禅寺などが徒歩圏内という好立地に建つ。
暖簾をくぐれば昔ながらの日本家屋が庭の木々に囲まれた小道の先に顔を覗かせる。
客室は庭に面した和室続きの広々とした部屋やメゾネットタイプの部屋などそれぞれ個性豊かな趣きの全10室。
宿泊したのはメゾネットタイプの「如月」。
部屋に案内されると2階の和室に通され、お薄と花びら餅の接待を受ける。花びら餅は正月に京都でいただく伝統のお菓子。違い棚には水仙の花と三つ俵が飾られていた。
1階には食事用にテーブルを備えた和室、洗面所と木の風呂を備えた浴室がある。
年月を重ねた建物を大切にしながら水周りなどのリフォームを施し新しい設備を備えた風呂場は狭いながらも使いやすい。
食事前に近くの八坂神社まで散策に出かけて戻ると暗くなった路地の向こうで宿の灯りが温かく迎えてくれた。
食事は1階和室のテーブル席で季節の京会席料理をいただく。煮炊きものは芯まで出汁がしみてふっくらとした仕上がり。
塗りのお盆や皿、椀と伝統的な和食器が使用されていると思えば、合間にカップとソーサーで熱々のスープを提供するなど意表を突く楽しさも。
デザートにシャーベットというのも純和風の日本旅館では珍しい。
元旦は屠蘇と新年の縁起物「大福茶」からの正月料理。
大皿にお節、白味噌の甘い京仕立ての雑煮、紅白なますなど祝い料理が並ぶ。
昔ながらの日本建築を大切に守っている旅館で新たな年の初めを迎えるのも清々しくいいものである。
住所:京都市東山区祇園下河原町477
玉半 公式サイト:http://www.tamahan.jp/
(小椚萌香)