余命3ヶ月宣告を受けて撮った最新作『花筐』公開直前!「大林宣彦」の軌跡 を振り返る

肺がんで闘病中の大林宣彦監督が、40年前に企画したという映画『花筐(はながたみ)』が12月16日に公開される。

檀一雄の純文学を映画化したこの作品は、太平洋戦争勃発前夜の若者たちを描いた青春群像劇で、「戦争を知っている最後の世代として伝えたかった作品」であり、まさにキャリアをかけた執念の一作であり、現代に生きるわれわれに痛烈なメッセージを訴えかける映画となっている。

 

そうしたタイミングで刊行される映画作家・大林宣彦の軌跡を辿るムック、文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』は、監督とともに〈大林映画〉をつくりあげてきた妻でプロデューサーの大林恭子さん、娘の千茱萸さんとの家族座談会ほか大林作品を支えてきた俳優、スタッフたちのインタビューなど監督の軌跡を振り返るのにふさわしい充実の内容だ。

大林監督はこれまで、約2,000本におよぶTVコマーシャルを制作する一方で40年前の1977年、『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出後は、自らの出身地である尾道市を舞台に制作された尾道三部作とよばれる『転校生』(82)、『時をかける少女』(83)、『さびしんぼう』(85)をはじめ、「この空の花 長岡花火物語」(2011)、「野のなななのか」(14)といった“古里映画”を撮り続けてきた。そして、大林監督が新たな物語の舞台に選んだのは、佐賀県唐津市だった。

文藝別冊『大林宣彦 「ウソからマコト」の映画』、是非手に取って大林監督の世界に浸って、映画館に足を運んでみてはいかがだろう。

【書誌詳細】

A5判/256ページ/本体価格:1300円(税別)/発売中

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309979298/

 

(Y.FUKADA)