チェコの首都・プラハにおける観光の中心地は、歴史的な建造物が多く残る旧市街地。その中に、2匹の猫がビールジョッキに寄り添っている絵が描かれたレストランがある。
その名も「U Dvou Koček(2匹の猫)」と言う、ファンタジーの世界にでも出てきそうなビア・レストランだ。
店内は混雑しており、地元の人達も来ているようだ。いかにも「酒場」といった雰囲気が歴史を感じさせ、一昔前の映画でも見ているかのような気分になる。こういった雰囲気にまぎれ込むと、旅人である事を忘れてしまう楽しさがある。
中にかかっていた木の看板を見ると「A.D. 1678」とある。この「2匹の猫」は江戸時代初期に出来た店なのだ。やはり、プラハは歴史が長い。
店内のあちこちに猫がいるので、探してみるのも面白い。ドームのようになっている白い壁や天井には、ビール樽やビールを飲む人々と戯れている白猫と黒猫の絵が大きく描かれている。
また年季の入った色に輝くビアサーバーにも、2匹の猫たちがよじ登っている。ビアサーバーの形や装飾にこだわるのは、手先が器用でビールへの愛情が深いチェコならではかもしれない。
店に入ってすぐの所にタンクが並んでいる。「2匹の猫」ビールは、ここで醸造されているのだ。チェコで一般的に流通している「Pilsner Urquell(ピルスナーウルケル)」と共に提供されているので、どちらも試して欲しい。
料理はもちろん、ビールに合うチェコ料理。まずは酪農が盛んなチェコならではの、様々な種類のチーズから。あとはメインにカツレツのような「ジーゼック」や、肉を挟んだ「ボランボラーク」など、ボリューム満点で美味しい料理が並ぶ。メニューには英語も、グラム数のように料理の量も記載されているので便利である。
メインの通りから外れているのと、古い雰囲気が「入っても大丈夫かな」とためらわせるが、全く問題はない。挨拶だけでもチェコ語で言えば大丈夫。ただ笑顔でどんどんビールを勧めてくるので、それだけはご注意を。
(田原昌)