「ガスビル食堂」は昭和8(1933)年3月、ガスビル(大阪ガス本社ビル)の8階に竣工と同時に誕生した老舗レストラン。
「ガスビル食堂」という名称から「社員食堂」と思われるかもしれないが、創業当初よりモダンシティー大阪を代表する本格欧風料理を提供するレストランとして市民の人気を博した。
初代の料理長を帝国ホテルから招き、初代料理長のコンソメやドミグラスソースなど、正統派フランス料理の伝統が今も受け継がれている。
レストランへは専用のエレベーターが用意され、エレベーターを降りるとクローク、ホールにはウェイティングシートが並ぶ。
窓際のテーブルからは御堂筋が望める。開業当時は大阪城や生駒山が望めたという。
テーブルには白いクロスが掛けられ、すずらんのデザインの皿と美しいフォルムのカトラリーがセッティングされている。
コース料理にまず登場するのが生セロリ。コース料理につくガスビル食堂の生セロリは、昭和8年創業当時から続く名物。
プリフィックスディナーはアミューズ、前菜、スープ、魚料理、肉料理、デザートまで2種類から4種類まで選択肢は多い。
ガスビル名物の野菜のポタージュは配膳後に「熱いのでお気をつけください」とカップの蓋を開けていただく。
暖かい料理は皿も温かく、冷たい料理もまた然り。
いずれの料理も美しく繊細。給仕の対応も同様である。
大阪御堂筋界隈に来られたら帝国ホテル伝統の本格欧風料理を洗練されたスタッフの接客とともに味わってみてはいかがだろう。
ディナータイムはコース料理が中心だが、ランチタイムには日替わりランチやハンバーグ、各種のカレー、ギリシャの家庭料理に由来する「ムーサカ」などの伝統料理もメニューに連なる。
ガスビルは2003年に登録有形文化財に指定された。料理とともに格調高いレトロな空間も楽しめるレストランだ。
住所:大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪ガス本社ビル8階
(小椚萌香)