ビール造りの香りが広がる、ドイツ・ドレスデンのビアレストラン

ドイツと言われて思い浮かべるのは、やっぱり「ビール」。「Weihenstephan(ヴァイエンシュテファン)」のように1040年創業のビール醸造所が今でも現役で稼働していたり、地域によって違った種類を醸造していたり。そのビールに注ぐ情熱は、ドイツ文化の代表とも言えるだろう。

ドイツの東側、チェコの隣に位置するドレスデン。旧東ドイツの香りが残るこの街ではどのようなビールが味わえるのか、オススメの中から選んで訪ねてみた。

ドレスデンは街の中を流れるエルベ川沿いに広がっている。そのエルベ川と街を眺められる高台にあるのが、「Waldschlösschen(ヴァルトシュロスヒェン)」というビアレストラン。「Brauhaus」とあるので、自家醸造のビールがあるレストランだ。

エルベ川を眺められるテラス席もあるのだが、今回はあいにくの天気だったので店内へ。入った瞬間、麦汁の香りが鼻腔をついてきた。まさに「ここで醸造しています」というサインであり、ビール好きにはたまらない香りだ。

店内は広くてとても明るい。木で出来た良い雰囲気が、ヨーロッパらしい落ち着きと歴史を感じさせる。かしこまった感じがしないのもいい。

カウンターには常連さんたちがビールジョッキを片手に、店員たちと談笑。その後ろ側には、金色に輝く銅製の釜が鎮座する。

店内で作られた独自のビールは、やがてカウンターにある銅製のビアサーバーへと辿り着く。その工芸品のように美しいビアサーバーも必見だ。

主なビールは4種類。店のオススメは、看板の「Original Hell」というヘレス。

美しい黄金色で透明のビールは、ホップの苦みが強すぎず、スッと飲めてしまう心地良いテイスト。ついつい杯を重ねてしまいそうな、危険なビールでもある。

ドレスデン料理も美味い。同じ料理の名前でも、南側のミュンヘンとは違った味付けであったり独特のスープもあって、ドイツ国内の伝統の違いを味わった。

ドイツに行ったら、ビアホールやビアレストランなどに入ってビールと料理を味わいつつ雰囲気に包まれることが、その街を知る手っ取り早い方法なのだと思う。積極的に立ち寄って楽しむのも、ひとつの旅のあり方だ。

(田原昌)