教皇庁が置かれた歴史的な街・南仏アヴィニョンを歩く

マルセイユからTGV(特急)もしくはTER(在来線)で内陸に向かって走ると、ローヌ川ほとりの街Avignon(アヴィニョン)に着く。フランスの南東部の地域圏であるプロヴァンス=アルプ=コートダジュール、ヴォクリューズ県の首都である。

教皇庁が置かれていたこともあるだけに、非常に活気のある大きな街だ。

中央駅であるGare d’Avignon Centre(在来線の駅)を出ると、目の前に城壁が左右に展開しているのが見えた。これは14世紀に教皇庁が置かれていた時に建造されたもので、ぐるりと旧市街を取り囲んでいる。

今でも旧市街に入るためには、この城壁の数カ所に用意された門をくぐらなければならず、駅から一番近い「Porte de la République(リパブリック門)」をくぐって中に入った。

門から続くリパブリック通りは案外広く、賑やかな一番通り。突き当たりは「Place de l’Horloge(時計台広場)」であり、ここには市庁舎や劇場がある。2段の立派なカルーセル(メリーゴーランド)に子供たちが乗っていたり、カフェやレストランで人々が思い思いに時間を過ごしていた。

時計台広場からは細い道がいくつも分かれ、面白そうな店が点在している。地図を見ずに迷い込んでみると、楽しい発見がありそうだ。

旧教皇庁を見たら、ローヌ川に出てみよう。童謡で有名な「Pont Saint-Bénézet(サン=ベネゼ橋)」が架かっている。

これは城壁に繋がるようにしてローヌ川に架かっており、元々は対岸にある枢機卿の街「Villeneuve lez Avignon(ヴィルヌーヴ=レ=サヴィニョン)」まで架けられた石造りの橋だった。しかし度重なる洪水によって破壊され、結局17世紀を最後に橋を架けるのを諦めてしまう。そのため、現在ではローヌ川の途中までしか架けられていない、珍しい橋となっている。

世界遺産に登録されている旧教皇庁も立派だが、重厚な石造りが多い街並みを散策するのもオススメ。中世の香りが色濃く残る街だった。

(田原昌)