地中海に面した小さな港町「Antibes(アンティーヴ)」。ちょうどカンヌとニースの間に位置するので、港にはクルーザー船が多いのが特長だ。
そんなアンティーヴは小さい街ではあるが、とても明るく活気に満ちていた。
港に近い駐車場では花の祭典をやっており、色とりどりのブーゲンビリアや極楽鳥花、レモンといった南国・地中海を思わせる花や果物などの鉢を売っている。そんな華やかさがぴったりの街だと思った。
街中を歩いていると、市場に辿り着いた。小さく細長い市場だが、周囲に建ち並ぶ店とも一緒になって、非常に賑やかだ。中には観光客向けの商品もあるが、地元の人々の台所というような品揃えになっている。
お国柄、地域柄が出て面白いので、市場はのぞくと楽しい。日本では見た事がないような物も、発見できる。
ラベンダーやハーブは、さすが南仏と言った種類の多さ。これはお土産にしても喜ばれるだろう。
新鮮な牡蠣を売っている店もあった。買って帰るのもよし、頼めば近くのレストランで調理して食べられるという仕組み。好きなワインを買って飲むのもいい。
フランスなだけに、チーズの種類も豊富。すごい色だと思ったら、タイムやトマト、バジルと言ったハーブを使ったチーズのようだ。
ソーセージはドイツの物と違い、乾燥させたサラミのようなものが多かった。この地域の食文化が垣間見られる。
果物や野菜も日本とは違うバリエーションがあって面白い。
スペインなどでも見かけるが、こんな平たい桃を見た事があるだろうか?ちょっと扁平で不思議な形ではあるが、とても甘い。こんな違いや発見が、市場の楽しみ方だ。
太陽と海。楽しく賑やかな市場に響く人々の声。
しばし旅人である事を忘れさせてくれる、わくわくするような市場だった。
(田原昌)