京都・沙羅双樹の寺「東林院」の「沙羅の花を愛でる会」

京都市右京区にある臨済宗妙心寺派の大本山「正法山妙心寺」。

南門から北門へ一直線に朱塗りの三門、仏殿、法堂などが並び、取り囲むように四十六の塔頭(たっちゅう)が建つ。

重要文化財や名勝指定の庭園・寺宝が多く保存され、荘厳な雰囲気を醸し出している。

妙心寺へは京都駅からJR嵯峨野線(山陰本線)で花園駅まで行き、改札を出ると南門まで徒歩約5分程度の道のり。

境内東寄りの中央付近に建つ塔頭のひとつである「東林院」は沙羅双樹の銘木で知られる。

普段は宿坊と精進料理の提供のみで一般観光客には非公開であるが1月の「小豆粥で新春を祝う会」、6月の「沙羅の花を愛でる会」、10月の「梵燈のあかりに親しむ会」の際には特別拝観を行う。

「沙羅の花を愛でる会」は6月15日から6月30日まで開催され、抹茶とお菓子または精進料理をいただける。

抹茶付き拝観料を支払いチケットを受け取り、手入れの施された玄関庭園を通って本堂へと向かう。

本堂に上がると沙羅双樹の花の咲く庭が広がる縁側で拝観者が思い思いに美しい庭を眺めている。

抹茶の用意ができると名前を呼ばれるので敷かれている毛氈に着座するとお菓子と抹茶が運ばれる。茶道の心得がなくとも「いただきます」の気持ちがあれば十分。

かわいらしいお菓子は「京菓子處 鼓月」謹製の沙羅の花をイメージした和菓子。

平家物語にうたわれた「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす」は誰しも聞き覚えがある一節。

沙羅双樹の花は朝に咲き夕に散る一日花。

一日だけの生命を悲しむのではなく与えられた一日だけの生命を精一杯咲きつくすことを大切に、という説法と重なる。

ぽとりと落ちた白い花をしみじみと見つめる静かな時間の中に身を置くことができる、この時季だけの「沙羅の花を愛でる会」に出かけてみてはいかがだろう。

【東林院】

住所:京都市右京区花園妙心寺町59

電話:075-463-1334

 

(小椚萌香)