港町・マルセイユの元気な魚市場をのぞく

南仏のMarseille(マルセイユ)は古くからの港町。様々な国の人達が行き交っているのだということが、多彩な人々の顔に見て取れる。

現在、マルセイユには港がふたつ。ひとつは大型船が停泊できるように開かれた新しい港で、コルス島やサルディニア島、海を隔てた反対側のアルジェなどにつながっている。

そしてもうひとつが旧港の「Vieux-Port de Marseille(ヴュー=ポール・ド・マルセイユ)」だ。この港は長方形が街の中に食い込むようにして作られており、現在はその周りをお洒落なカフェやレストランが囲んでいる。一番賑やかな場所と言ってもいい。

港には個人所有のヨットやクルーザーが所狭しと並び、観光船の発着場にもなっている。その間をぬって、地元の漁船も行き交っていた。

朝、そんな旧港を散歩してみた。潮の匂いはさほどせず、スッキリとした気持ちの良い風が吹く。

すると人だかりが見えてきた。どうも漁船が着いたらしい。

それぞれの船の前で、朝釣ってきたばかりの魚を並べている。地元の人達がその周りを囲み、値段の交渉、あれはないかこれはないかと問答をしていて賑やかだ。

中を覗かせてもらうと、実に豊かな魚の種類。日本人に馴染みの深い鯖もいれば、知らない魚もいる。巨大なウツボやイカ、伊勢海老までいた。

欧米では「悪魔の魚」として苦手な人が多いタコも、元気に動いている。この辺りではオリーブオイルと一緒にマリネして食べることが多い。

 

ある程度魚が売れてしまうと店仕舞い。その場はいつもの観光客が行き交う港に戻る。

今でも元気なマルセイユの港の本当の顔を、楽しませてもらった。

(田原昌)