貧しかったインドの少年たちが、東京の中心にレストランをオープン。

誰もが一度は憧れるアメリカンドリーム。貧しいインドの少年たちが、母国をはなれ、現代の東京を舞台に実現させたシンデレラストーリーを紹介しよう。

クリスタイア・ラマナイアは、南インドの貧しい家庭に生まれた少年だった。12歳で、バンガロールのレストランに見習い職に就いた。このレストランには、12歳かそこらの、まだ幼い少年たちが、さまざまな地方から見習い職に集まってくる。

シェフになる道のりは簡単なものではない。最初は当然皿洗いから。朝は8時から、夜は11時まで。来る日も来る日も洗い物に追われる。それが過ぎたら、テーブルの清掃。その次は、カレーと水のサーブ。 細分化されたステップを、ひとつずつ刻んでいく。

シェフ部門に移ると、再びふりだし、鍋洗いからスタート。それから今度は野菜のカット。包丁を握る喜びもつかの間、朝から晩まで野菜と向き合う時間がつづく。

しかしまだまだ下積みはおわらない。今度は、スパイスの下ごしらえ。その次は、セカンドシェフ。晴れて一人前のシェフとして認められるころ、月日は過ぎて、少年は大人に、故郷の町は様変わりしている。

青年となったクリスタイア・ラマナイアは、2005年に来日し、日本のインドレストランに勤務。そして、2015年2月、清澄白河に、バンガロールで出会い、日々をともにした8人のシェフたちとともに「NANDHINI」第1号店をオープン。

そして、2017年4月には第2号店となる虎ノ門店をオープンさせた。


寝食をともにし、家族よりも密な距離で、ときには競い合いながら、ともに歩きつづけてきた仲間たち。

それぞれ家族を持ち、母国をはなれ、取り巻く環境は大きく変わったが、今日もこうして出会った頃と同じ関係のまま、忙しくも愉快な日々を送っている。

あの日バンガロールのレストランのドアを叩いたとき、いつか異国の地で、自分たちのレストランを持つ日がくるなんて、いったいだれが想像しただろうか。

NANDHINIは、貧しいインドの少年たちがつむいだシンデレラストーリー。

「私たちにとって大切なこの場所が、みなさまにとっても特別な場所となっていただけたら、そんなにうれしいことはございません」というオーナーのクリスタイア・ラマナイア氏。

17時30から19時までのHAPPY HOURは、おつまみとドリンクのセットが1,050円。夜風の気持ちいいこの季節に、ぜひ、少年たちの夢の1ページに、あなたも加わってみてはいかがだろうか。