モントリオールの街は広大な「セントローレンス川」に面しており、旧市街、そして高層ビルが建ち並ぶ中心街へと続く。
その中心街の背後にそびえているのが「Mont-Royal(モンロワイヤル)」であり、「モントリオール」という街の名前の語源になったとされる。
山全体が市民憩いの場となっており、マラソンをする人、アップダウンを利用して身体を鍛えている人、家族や仲間達とピクニックをする人などで賑わっていた。
登り口はいくつかあり、野外彫刻が並んでいる場所や、野鳥の集まる池もある。カナダの象徴であるメープル(カエデ)が色づく頃は、きっと美しいことだろう。
標高は232メートルという小高い丘なので、きつくない坂道を選べば労せず上り下りすることが可能。広大な場所ではあるがきちんと整備されており、ぐるりと散歩してまわって楽しい場所だ。
それもそのはず、ニューヨークのセントラルパークを手がけた「フレデリック・ロー・オルムステッド」の手によるものだという。
「Chalet de la Montaigne(シャレー展望台)」は、ダウンタウンを眺めることの出来るおすすめスポット。
手前にはダウンタウンの街並み、そして奥の方にはゆったりと流れるセントローレンス川まで見える。その雄大な景色は心地良い開放感を与えてくれた。
中は広い休憩所となっており、観光案内所やモントリオールのお土産が買えるショップもある。外が寒い時は、ここでホッと一息つけるのはありがたい。
このモントリオール市民の憩いの場は、動物たちにとっても憩いの場のようだ。
野鳥が多いのはもちろん、運が良ければアライグマに出会うこともある。器用な手つきで落ち葉から餌を探しており、すぐ側で見ている我々を気にしている様子は全くなかった。
近くには高層ビル。しかし緑豊かなモンロワイヤルは、そんな喧噪とは無縁だ。
自然を間近に感じながら生活をしている、カナダの生き方を垣間見られるような公園だった。
(田原昌)