上の湯温泉は落部川中流の中州から湧出する道南屈指の名泉。
周辺は大自然に囲まれ四季の遷り変わりも堪能できる静かな温泉地で、温泉宿が2軒ある。
「温泉旅館 銀婚湯」は敷地内から湧出する5本の源泉を持ち、館内大浴場の内湯と露天風呂、家族風呂、広大な敷地に点在する野天風呂に掛け流しで利用している。
野天風呂は宿泊者専用の貸切湯となっており、散策を愉しみながら野天風呂に浸かるのが銀婚湯での醍醐味。日帰り入浴もできるが、宿泊での利用がお勧め。
野天風呂利用の際はフロントで専用の湯札を貸し出してもらう。
宿泊した日は天気は良かったものの気温が低く、野天風呂は一番近い「かつらの湯」を拝借した。
借りた湯札が鍵の役目を果たす仕組み。
湯船の周りも雪が積もり、屋根と囲いはあるがほぼ屋外と変わらない温度の脱衣所はすこぶる寒い。
急いで掛け湯をして石をくり抜いた湯船の温泉に入りホッと一息。
肩まで浸かると積もった雪が目の高さに迫る。
雪景色とかけ流しの温泉を堪能した後は再び脱衣所で寒さと対峙。さっと羽織れる浴衣と半纏がありがたい。
湯冷めをしそうな外気の中、足早に歩いていると「ぽかぽか」とまでではないが、体がほかほかとしてきて温泉の効能の威力を再認識。
部屋でいただく夕食にはポタージュ、前菜の盛り合わせ、お造り、銀むつのソテーなど、素材を活かした料理が並ぶ。
終盤のとり鍋は松永農場のレモン色の生たまごに絡めて。
就寝前に館内の大浴場を拝借すると、広々とした内湯と木々に囲まれた露天風呂でのんびり寛げる。
翌朝、男女の入れ替えがあるので朝風呂も堪能。
横に長い窓際の岩風呂から雪を抱いた大地から木の梢が天に伸びる景色が清々しく、露天風呂からは木々の向こうに川の流れが見える。
ほっこりと朝湯で温まったあとは食事処での朝食。
小上がりに用意された席は景色を眺められるようセッティングされていた。
昨夜と同じく松永農場のたまごを使用した卵焼き、味噌汁の具は地元産の「みみのり」。
地元食材のこだわりは地元をこよなく愛する気持ちのあらわれだろう。
食後にコーヒーをいただきながら次回はほかの野天風呂にも入りたいとつくづく思った。
住所:北海道二海郡八雲町上ノ湯199
電話:0137-67-3111
銀婚湯 公式サイト
(小椚萌香)