日本で暮らしていると経験できない、列車での国境越え。それがヨーロッパだと当たり前のように行われている。
なかなか日本の鉄道のように時刻表は細かく組まれておらず、時間がない場合は飛行機での移動を勧めるが、列車での移動はやはりロマンがある。
今回はオーストリアの北東に位置するウィーンから、お隣のチェコの南東にあるブルノまで列車で移動することにした。
ウィーンの中央駅である「Wien Hauptbahnhof(ウィーン ハウプトバーンホフ)」が出発点になる。
新しくなった駅でとても広く、さまざまな店も入っているので買い忘れたお土産なども手に入る。列車内で食べられるパンや菓子、飲み物なども調達可能だ。
今回乗車した列車はチェコの国営鉄道で運行する「Railjet(レールジェット)」である。
もちろん、日本からもサイトを通して座席や乗車券の予約、購入が可能だ。
17 時5分、出発時間ぎりぎりになって列車がホームに入ってくる。
1等、2等と座席を指定してあると余裕があっていいのだが、我々は食堂車に座ることにした。ちなみに食堂車の場合、座席指定が要らない。
17時9分、予定通りにウィーンを出発。
この列車は18時36分にチェコの第2の都市「Brno hl.n.(ブルノ中央駅)」に到着、21時8分に終点の「Praha hl.n.(プラハ中央駅)」着というものだ。
ブルノまでは、たったの1時間半の旅である。
まずはビールを注文。チェコの車両なので、チェコのビール「Budweiser(バドワイザー)」の生が飲めるというのがうれしい。
料理もビールに合うチェコ料理となっている。
ビールを飲み、料理をつつきながら外の景色を眺めているのは最高だ。
出発して10分ほどでドナウ川を渡り、田園風景の中をひた走る。
途中から進行方向右手にスロバキアを眺めつつ、いつの間にかオーストリアとチェコの国境を越えていた。
昔の映画のように、国境を越える際にパスポートを拝見、などというドラマがないのであっという間の国境越えだった。
いつのまにか駅名がチェコ語になっていたので、そこで気が付いたくらいだ。
そして18時43分、若干の遅れがありながらも無事にチェコのブルノに到着した。
ビール片手に景色を眺めながら、のんびりとした気分でヨーロッパを移動する。
移動中も楽しめるという旅は、一度経験すると癖になってしまう面白さがあった。
(田原昌)