ウィーンの中心部、ハプスブルク家が王宮として住んでいた「Hofburg(ホーフブルグ)宮殿」のすぐ側に、「DEMEL(デメル)」がある。
真っ白な建物に、黒に金字の看板。「DEMEL」という文字の上には、ハプスブルク家の紋章が入っているという格調高き老舗だ。
日本にも店舗を構えるこの世界的に有名なケーキ店は1786年創業、ハプスブルク家と共に歩んできた歴史を持つ。
店内に入ると、歴史を感じさせるシックなガラスケースが出迎えてくれる。その中に並ぶ、魅惑的なケーキ。
テイクアウトも可能だが、カフェを利用する場合はそこでケーキを注文して、奥に入る。
歴史のある人気店なだけに、中は非常に混雑していた。
右手に進むと、カフェとは別に焼き菓子やチョコレートを販売するコーナーがあった。
鏡を使った窓や天井から吊されている美しいシャンデリアが、まるで宮殿の中に居るような豪華さで出迎えてくれる。
有名な猫の舌の形をしたチョコレートもあるが、日本の店舗では扱っていないような板チョコなどもあり、お土産として最適だ。
木箱に入ったホールのザッハトルテもいいが、1人分の小さめのザッハトルテも扱っている。チョコレートに包まれていて割と日持ちがするので、お土産として持ち帰るのもいい。
ホテル・ザッハーのザッハトルテと深い関わりのある、デメルのザッハトルテ。
両者の味の違いを比べてみるのも面白い。
華やかではあるが、派手さはない。
ハプスブルク家に愛された歴史ある老舗の雰囲気は、京都の老舗和菓子店のような落ち着いた味わいを持つ。
ウィーンを訪れたら、ぜひ立ち寄ってみたい店の一つだ。
(田原昌)