半混浴式大浴場を持つ有馬温泉の老舗旅館「御所坊」

神戸・有馬温泉の宿に多い「○○坊」という名は、有馬十二坊と呼ばれた坊舎が存在したことを物語る。

建久2(1191)年、12軒の湯治宿を建てたのが契機で、一部の旅館はこの伝統的な名称を継承しているわけだ。

昭和50(1980)年代、日本国内で団体旅行が盛んになると、多くが鉄筋コンクリートに建て替えられ、有馬は一挙に近代化した。だが、不便でも趣きある木造建築を維持し、独自の空間へと熟成した宿がある。

今回は有馬最古の宿「御所坊(ごしょぼう)」を紹介しよう。

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御所坊は温泉街の中心に建ち、有馬温泉駅からも徒歩5分ほどで到着する便利な立地。連絡すれば車で迎えのサービスも行う。

歴史ある旅館にありがちな複雑な造りで、部屋は全20室。

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聴水御坊と雲山御坊からなる、8つのバストイレ付きの客室「天楽」には谷崎潤一郎、吉川英治、伊藤博文等が残した詩や書が残る。

中庭に設えられた離れの茶室付き湯殿「偲豊庵(しほうあん)」は、天楽のタイプの部屋に宿泊の場合のみ予約できる。

かすかに聞こえる水琴窟の水音に、一層の寛ぎを感じる温泉である。

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御所坊の大浴場は半混浴式の半露天大浴場。

半露天の湯船は徐々に深くなっていく洞窟のような、細いスロープ状の湯船の先にある。

先端まで行くと隣り合わせた男女の湯が現れる。

塀はなくなるが、濃い金色の温泉のため湯に浸かっている部分は見えないので女性でも安心して入れる。

同行した相手との入浴中の会話は不思議な気分。

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湯上りの休み処の近くに大きなワインクーラーがあり、ワイン好きには夜の食事の愉しみが広がる。

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食事は御所坊内の山家料理食事処「餐房 閑」。見た目の豪華さや伝統的な手順にとらわれず、質の高い食材を使うのがコンセプト。

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カウンターの鉄板で焼く神戸牛のステーキは絶品。

連泊の際は姉妹店である「花小宿」の料亭「料膳 旬重」や、「御所別墅」の併設レストランへ伺うのも雰囲気が変わっていいものだ。

「御所坊」には入浴付きの日帰り食事プランもある。日帰りでの有馬温泉観光でも他に類を見ない御所坊の半混浴式の風呂を体験したい。

もちろん、源泉掛け流しである。

住所:兵庫県神戸市北区有馬町858
電話:078-904-0551
サイト:http://goshoboh.com/

(小椚萌香)

【参考】
有馬温泉・陶泉御所坊 – 高級旅館・高級ホテルの予約ならrelux(リラックス) <https://rlx.jp/25332>