コンサートホールで聴く原音を、自宅で気軽に味わうために。
1950年代に始まったステレオ再生を軸とするオーディオムーブメントは、世界各国のハードウェアメーカーの技術力を競い合わせるための市場でもあった。
52年にアメリカで設立された「アコースティック・リサーチ」もHi-Fiを追求したメーカーだ。
ハイクオリティで小型ながら低域の量感も確保したスピーカーで、一躍ホームオーディオ界のリングの中央に躍り出た(カラヤンやマイルズ・デイビスが同社スピーカーを愛用したという逸話もある)。
彼らは、70~80年代の全世界的オーディオブームに合わせ、大型モデルも多数リリースしていく。その後、サラウンドスピーカーからPC/iPodスピーカーというゼネラルオーディオの世界に開発の軸を移すものの、Hi-Fiへの信念は抱き続けてきた。
6月17日に発売したハイレゾオーディオプレーヤー「AR-M20」(7万9920円)には、「録音の正確な再現」というアコースティックリサーチの理念を見ることができる。
グロスブラックとアルミシルバーのツートン薄型ボディに組み込まれた5インチディスプレイ。
スタンダードなスマートフォンに見えるが、DACにBurr-Brown PCM5242、ヘッドホンアンプにTexasInstruments TPA6120A2を採用。美音を繰り出すために特化したハードウェア設計となっている。
ちなみにOSはAndroid、プロセッサにクアッドコアのQualcomm MSM8926だ。
Androidのバージョンは4.3。安定性を重視したゆえのバージョン設定だ。
内蔵メモリは32GB。microSDXCで最大200GBのストレージも扱える。専用の再生アプリAR Music Playerは最大192kHz/24bitのPCM(WAV・FLAC)音源をネイティブ再生できる。
再生時に、最大192kHz/24bitのPCMに変換されるが、最大5.6MHzのDSD・DXD音源、最大384kHz/32bitのPCM音源もサポートしている。
残念なのはGoogle Playが使えない点だろうか。ネットワーク機能はWi-Fiのみに限られるとはいえ、世界的な潮流となっている音楽配信サービスとの親和性も打ち出してほしかった。
ソリッドな塊感を醸しながらもスリム&軽量。シャツのポケットにも入れられるような、カジュアルな使い方もできる。
いつでも、どこでもいい音と暮らしたいサウンドピープルにオススメしたい1機だ。
(武者良太)
画像提供元:フロンティアファクトリー