オタワは、イギリスとフランスがカナダの覇権を巡った戦いに終止符を打った1858年、英仏領の境目に位置したことから首都と決定された。そのため、看板などは英語とフランス語の併記が多い。
首都ではあるが、人口はオリンピックを行ったカルガリーに次ぐカナダ4番目。混雑している雰囲気はなく、こざっぱりとしていて歩きやすい。
郊外の方から中心部に向かって移動する。
素敵な赤レンガ造りの家が建ち並んでいた次のブロックから、突然丸の内のオフィス街に入るような凝縮された街だった。
観光名所のほとんどがオタワ川沿いにあり、公園や運河もある緑豊かな街。観光して回るような場所の範囲がさほど広くないので、1日ぶらりと歩いて巡るだけでも楽しめる。
オタワのシンボルと言えば、重厚なゴシック様式による国会議事堂。オタワ川を背にした「Parlament Hill(パーラメント・ヒル)」にあり、中央と東西の棟から成っている。
イギリスらしさを感じさせるそれはロンドンのビッグベンを模した建造物で、鐘の音がとても美しい。無料の見学ツアーで入館も可能だ。
「Byward Market(バイワード・マーケット)」に足を運ぶ。
赤レンガとカナダらしい赤が基調のこのマーケットには、イギリスらしさを感じさせるレストランやパブ、フランスのマルシェにありそうな可愛い花屋などが所狭しと並び、見て回るだけでも楽しい。
その一角にオタワっ子が大好きなお店がある。「Bever Tails(ビーバーテイルズ)」という、赤と茶が基調の可愛らしい店だ。
名前の通りビーバーのしっぽのような平たい揚げパンに、様々なトッピングをしてくれるお菓子。「シナモン&シュガー」が定番で美味しく、まさに日本の揚げパンだが、他にもチョコバナナやメープルシロップといった向こうならではの甘い組合せもある。
パブはいかにもロンドン風。ギネスを飲みながら、イギリス名物の「フィッシュ&チップス」や「カレー&チップス」を頂く。
カナダに居ながらにしてイギリスの味とビールが楽しめてしまうのだ。
オタワの街中を歩いていると、そこかしこに案内板が掲示されている。イギリスとフランスが、この広大なカナダという土地を巡り戦ったこと、そして1つの国となって発展していった歴史が記されていた。
古くて重厚な建築と現代建築、イギリスとフランス。文化が融合した複雑な面白さが、オタワにはあった。
(田原昌)