日々を鮮やかに彩ってくれるハイレゾプレーヤーAK300

2016年現在、オーディオの分野において、定額制音楽配信サービス、アナログレコード、そしてハイレゾ音源のムーブメントが到来している(一部にカセットテープ・リスニングの潮流もやってきているという説があるが、まだその気配は微々たるもの)。

この中で、もっとも手軽に最高音質を聞けるのがハイレゾ音源だ。CDでは聴き取れなかった、緻密に組み上げられた音世界をいつでも楽しめるとあって、ハイレゾ音源対応のポータブル・オーディオプレーヤーにも注目が集まっている。AK300_02

この6月、今期のオーディオトレンドをつかみそうなプレーヤーがデビューした。Astell&Kernの「AK300」(12万9980円)だ。

まるで彫刻のようなエッジを持つアルミニウムハウジングに、最新世代の心臓部ことDACにAK4490をシングルで採用。192kHz/24bit PCMのハイレゾ音源を再生できる能力を持つ。AK300_06

同機はすでに発売しているAK380(49万9980円)、AK320(24万9980円)の弟分となる存在。外部アンプ、クレードル、リッピングCDドライブ、レコーダーといったオプションはAK3xxシリーズ共用で、コンポーネントを組み上げるという楽しみも味わえる。

いずれも過度な装飾はなく、モダンラグジュアリーなエクステリアが美しい。ノイズ対策・放熱の意味もあるハウジングは、スマートフォンとは違った密度感を持っており、内蔵メカニズムへの期待が高まる。AK300_08シリーズ末弟となるモデルだが、肝心の音質は素晴らしい。

金管楽器のビブラートは硬く金属的な響きを保ちつつ、ピアノのグリッサンドは1音1音を丁寧に描きながら、打鍵の強さに応じて木の響きの違いを鳴らし分けてくる。ボーカルの存在感も強い。吐息がかかりそうな近さから声がぶつかってくるかのようだ。ハイスピードなハイハットワークも着実に鳴らしきる。

サウンドの方向性は偉大なる兄貴分と同系統。アーティストとエンジニアが理想とした音楽空間を再現するものだ。AK380、AK320との音の差はあれど、このクラスとなると好みの問題。

柔らかくも緻密なタッチを重視するならAK380、硬質で至極真面目な音が好きならAK320、輪郭の描き方が筆圧高く、まとまりが良いサウンドを持ち歩きたいのならAK300がいいだろう。グレードは分かれるが、いずれも名機といえる音質を持っている。

PCと接続して、PCサウンドを高めてくれるUSB DAC機能、Wi-Fiを用いたネットワークプレーヤー機能、ライトに音楽を聴きたいという要望を叶えるBluetooth機能など、Hi-Fiモデルながら高い実用性を備えている。

(武者良太)

画像提供元:アユート