群馬県道55号を草津方面に進むと河原の露天風呂手前、宿の看板が立っているので右手の長笹沢川沿いに降りると関晴館だ。玄関を入ると馴染みの「日本秘湯を守る会」の提灯。会員宿には必ずこの提灯がさがっているが、宿により入り口脇にあったり、フロント横にあったり、提灯がないな、と思っていたら、大浴場の入り口に吊るしてあったことも。秘湯巡りの愛好者はこの提灯と一緒に記念写真を撮るのも楽しみなのである。
客室は全10室。そのうち露天風呂付きの離れが2室。宿泊したのは露天風呂付きの離れ「白妙」の間。和風の造りで寝室と居間兼ダイニング、温泉露天風呂と洗面所、トイレ、川を見下ろせるテラスが付いている。
男女別の大浴場には内湯と露天風呂、貸切風呂が2か所、部屋風呂もすべて源泉掛け流しの温泉だ。浴場はそれぞれに違う表情をしているが、中でも女性用の露天風呂は川の近くまで下りた所にあり、川の流れを感じながら入ることができる気持ちの良い風呂だ。ふと気が付けば他の客の気配がない。どうやら運よく宿は貸し切りになったようだ。大浴場は時間により男女入れ替えになるが自由に使ってよいとのこと。せっかくなのですべての湯を利用させてもらった。
離れの食事は部屋食。和室での部屋食の場合、座卓に和座椅子が定番であるが、掘り炬燵式の座卓になっていたのが珍しい。料理は川魚の刺身や鮎の飴煮、茶碗蒸し、花豆の煮ものなど、温かくほっこりとする素朴な料理が並ぶ。
都会の洗練されたホテルの雰囲気や観光客で賑わう温泉街もないが、いい湯と宿の主人の温かいおもてなしを感じるくつろぎの温泉宿であった。
帰り際、フロントに折りたたんだ封筒がたくさん置いてあるのに気付いた。「ご自由にどうぞ」と書いてある。花の種が入っていた。
住所:群馬県吾妻郡中之条町大字入山1539
電話:0279-95-5121
サイト:http://www.sekiseikan.net/index.html
(小椚 萌香)
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