現存する天守閣、もうひとつの天空の城「備中松山城」


備中松山城を含めた高梁市内を巡るお得なチケットを手に入れることができ、またここからシャトルバスや乗合タクシーで城の麓にまで行けるようになっている。

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城下町には作庭で有名な小堀遠州による枯山水庭園があり、街並みも質素ながら趣がある。

備中高梁駅から車で約10分。車が入れる所から天守まではそれなりの山登りとなる。

途中でゴミ拾いや落ち葉を掃いている一団と出会った。「おはようございます!」と元気一杯に応えてくれた彼らは、この備中松山城を愛する地元の方々。

このような努力と地域を愛する心が、やがて多くの観光客を呼び込むことになるのだろう。

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急な石段を登っていくと「こんな山にまで石を運んで作ったのか」と驚かされるような石垣が目の前に立ちはだかった。

それを攻略すると目の前が一気に開け、雲の上に出る。

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何という神秘的な景色だろう!

自分が通ってきた高梁の街並みはすっかり見えなくなり、360度ぐるりと城を取り囲むようにして雲海が棚引いている。溜息が出た。

上記の写真はほぼ同じ場所で撮影したもので、左は午前9時頃、そして右は午前11時のものだ。数時間のうちに雲海は開けてしまうことがお分かり頂けると思う。

雲海に浮かぶ城が見られるのには諸条件があるが、午前中がお薦めとの話。

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苦心して山登りをし、石垣も実に立派だが、天守はさほど大きなものではない(山城だから当然大きいはずはないのだが)。しかし侮ることなかれ、この備中松山城は現存十二天守のひとつであり、最も高い位置にある天守なのだ。

その天守から眺める雲海も、これまた趣があって美しい。

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かつては戦闘を想定して建築された城ではあるが、この自然の美しさと城の凜とした姿の調和に感動を覚えずにはいられない。

これからの時期は紅葉も楽しめるので、ぜひ訪れて欲しい城の一つだ。

(田原 昌)