1499年創業の伝説のレストラン「U Fleků」でオリジナルビールを堪能する旅


そんな昔から現在まで営業してきた、ある意味伝説のようなレストランが「U Fleků」なのである。

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重厚な造りの扉を押し開けて中に入る。いくつかの部屋に分かれており、天気が良い日には中庭で食事をするのも良さそうだ。

ビールジョッキで作られたシャンデリアがぶら下がっている、広めの部屋に通された。有名レストランなだけに、各国の言葉が飛び交っている。

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チェコでは割とスタンダードなのだが、「pivovar(ピヴォバル)」と呼ばれるお店では、自分の店独自のビールを醸造している。

もちろん、この「U Fleků」の店内にも醸造用の銅釜が並び、店オリジナルのビールが飲めた。古い造り方のビールが堪能できる。

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店内ではアコーディオンを演奏していたおじさんが各テーブルを周り、「どこから来たの?」と聞きながら各国の歌を歌っていた。食事の場所で演奏付きなのは、観光客の多い店ならではである。

そんな歌を聞きながら、ソーセージやハム、チーズのプレートなどをつつき、隣に座っていたロシア人と話していると、演奏していたおじさんが目配せをしてきた。

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出身を聞かれるのかと思いきや、いきなり演奏を始める。チェコ語で歌っているが、思えば耳馴染みのある曲のような……。

「あっ、『上を向いて歩こう』のチェコ語版だ!」と驚くと、おじさんがしたり顔。

アメリカではよく耳にするが、遠く離れたこのチェコという国で聞くことになろうとは思わなかった。しかもチェコ語バージョンがあるとは。

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側にやって来て陽気に歌うおじさん。周りの皆から注目されつつ、我々も日本語で唱和する。歌い終わると周囲からも拍手。おじさんとは握手をして肩を叩き合う。

なんという素敵な思い出だろう。これだから、旅はやめられない。

(田原 昌)