雨上がりの十勝スピードウェイに佇んでいた新型アウディTT(3世代目)は、初代ほどの斬新さやインパクトは望むべくもないものの、よりシャープでキリリとした面構えにはグッと惹かれるものがあった。
新型のボディサイズは、全長4,180×全幅1,830×全高1,355mm。現行の2代目からは全長と全幅が10mm縮まり、35mm低くなっている。一方で、ホイールベースの延長(40mm)とともに前後オーバーハングが短縮されたことで、より伸びやかでダイナミックなスポーツカーフォルムとなっている。
はやる気持ちを抑えつつ、ヘッドレスト一体型となったスポーツシートに収まる。目の前に広がるインパネは、まさにアウディ一流の機能美に溢れていた。
デジタル液晶メーターを採用した「バーチャルコックピット」や操作系を集約した丸型エアベントをはじめ、デザインと機能の両立によるシンプルさがやけに清々しい。
最初に試したのは、高性能版の「TTSクーペ」。従来比14ps/30Nmアップの286ps/380Nmを放つ2リッター直噴ターボは、過剰なまでのエキゾーストノートを響かせながら、あっという間に最初のコーナーへと導いた。
ブレーキのタッチも上々だ。また、TT専用の制御ソフトウェアを搭載したクワトロが、コーナーをよりハイスピードでクリアすることを可能にしている。思わず攻めすぎてしまうほど、気分が高揚してしまった。
続いて乗った「TTクーペ」ならびに「TTロードスター」は、絶対的なスペックこそ「TTSクーペ」に譲る230ps/370Nmだが、優れたシャシー性能やリニアな操作フィールがもたらす車との一体感が印象的で、“ピュアスポーツ”としての魅力が十二分に伝わってくる。
アウディ渾身の新型TTは、期待を裏切らないどころか、期待以上の進化を果たしていた。使い勝手やスタイルの良さで選ぶなら「TTクーペ」、オープンエアを二人で贅沢に味わいたいなら「TTロードスター」、非日常をより濃密に味わいたいなら「TTS」という選択になるだろう。
■グレードならびに価格は以下の通り
Audi TT Coupe 2.0TFSI=542万円
Audi TT Coupe 2.0TFSI quattro=589万円
Audi TT Roadster 2.0TFSI quattro=605万円
Audi TTS Coupe 2.0TFSI quattro=768万円
(zlatan)
写真:アウディジャパン
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