ホビーメーカー・グッドスマイルカンパニーが立ち上げた新興ブランド
toon WORKSHOPの主軸はプロダクト/グラフィックデザイナーのメチクロ氏。
多岐にわたる活躍フィールドを持ち、ハイエンドオーディオの世界においてもデザインを手がけていた氏が、玩具・フィギュアのホビーメーカーとして、また片山右京氏が監督を務めるグッドスマイルレーシングの母体、グッドスマイルカンパニーと手を組みTHP-01を作り上げた。
キーとなったのはこの可変構造だ。華奢そうに見えるが、強度は上々。アクションフィギュアで世界中を唸らせたグッドスマイルカンパニーが擁する可変構造のプロフェッショナルがデザインスケッチを描き、いくつものプロトタイプを経てこのスタイルに辿り着いた。
パーツを動かしたときの音と触感にもこだわりがある。フィルムカメラの巻き上げレバーを操作しているかのような、確かな手応えがそこにはある。
造形家・竹谷隆之氏が手がけたカスタムモデル(非売品)
スタイリッシュさで魅せるデザインは内部のフレームにまで及んでいる。分解すると保証の対象外となってしまうが、グッドスマイルカンパニーの「それでも中を見て欲しい」(代表取締役社長・安藝貴範氏)。
ライゾマティクス・齋藤精一がデザインしたカスタムモデル(非売品)
またtoon WORKSHOPは後日、外装パーツの3Dデータを公開予定。このデータを用いることで、ユーザーがオリジナルの外装を作って付け替えれる、ヘッドフォンというプロダクトをオリジナルカスタマイズするというシーンを作ろうとしている。
ファッションブランドFACETASMによるカスタムモデル(非売品)
近年、セミオーダーなカラーカスタマイズを受け付けるヘッドフォンがいくつか登場している。そしてヘッドフォンはファッションアイテムとしても注目されている存在でハイブランドとのコラボレートも加速している。
THP-01はこの、ヘッドフォンのエクステリアを重視するという流れを加速させる可能性も秘めている。
東亜重工製通信用端末・二零式[黒]・東亜重工製通信用端末・二零式[白](c) 東亜重工
スタンダードモデルが4万5000円。「シドニアの騎士」をはじめとした弐瓶勉作品に登場する架空の重工業企業・東亜重工とのコラボモデル東亜重工製通信用端末・二零式は5万5000円。
同価格帯のヘッドフォンは今までアコースティックサウンドの原音再生を重視したモデルが大半だが、THP-01は30Hz前後のベースサウンドが世界観を構築しているEDMのトラックなどを再生したときに、一番気持ちよく聴こえるチューニングがされている。
チューニングを担当したのはリンキン・パークのMr.ハーン。突き抜けるようなパワフルなトーンは最新のロサンゼルスサウンドといっていいのかもしれない。
良くも悪くもヘッドフォンはトラディショナルなプロダクツだった。しかしTHP-01は、従来の文脈には囚われない作りをしている。
硬球ヘッドフォン市場において大きな一石を投じようとしている同機をチェックしたい人は、7月26日の幕張メッセで開催されるワンダーフェスティバル2015[夏]に足を運んでみよう。
(武者 良太)
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