誰も知らない「モンサンミッシェル」──極上の美しさは夕刻にあり

干潮 時の干潟では比較的穏やかな時間が流れ、乗馬ツアーに参加する人もいれば、 島の外側を1周する観光客も多い。

島の裏側にある干潮時にしか行けない聖オベール礼拝堂は、いつも多くの人で賑わっている。私は2度モンサンミッシェルを 訪れているが、この干潮時に歩く島周りが大好きだ。島を1周する頃には、ガイドブックには載っていない特別なモンサンミッシェルの姿を知ったような気にな り、ちょっと得意げになっている。

修道院の見学を終え、島内を散歩し、島周りをしているとサイレンとアナウンスが流れ始めた。いよいよ満潮の時である。今まで何もなかった干潟がものの30分足らずで水に囲まれる様はドラマティックであり、かなり見ごたえがある。あっという間、とはまさにこのこと。

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そしてここからがクライマックス。

満潮の海に浮かぶ小島をスポットライトが照らすかのように、背後から美しい夕陽が現れる。その美しさは筆舌に尽くしがたく、この世の物とは思えない燃えるような赤い光を放つ。

美しいモンサンミッシェルを包み込む海に沈む夕陽は何とも美しく、刻々と大きな空を染める景色にはため息しか出てこない。海に浮かぶモンサンミッシェルの姿に感動していたが、夕刻のモンサンミッシェルの美しさはそれ以上のものがあった。

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落陽後、変わりゆく夕陽色に浮かび上がるシルエットもまた美しく、満ち潮から始まったスペクタクルショーの余韻は続く。モンサンミッシェルでしか見られない幻想的な夕刻の時。これ以上の贅沢な時間は他に見つからない。

(ゆめたび)