ラグジュアリーと走りの融合「日産フーガ・ハイブリッド」試乗レポート

さらなるスポーツ性を求めるなら370GT

動力性能は申し分ないフーガ・ハイブリッドであるが、大きな車体と重い車重からハンドリングは俊敏とはいえない。やはりS字コーナーや回りこむような場所ではロールが大きく、どうしても位相差を感じてしまう。

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よりスポーツ性を求める人のために、3.7リッターエンジンを採用した370GTというスポーツグレードがある。こちらはハイブリッドではない、純粋なガソリンエンジンモデルだ。

外観はタイヤホイールが変わり、足回りが引き締められているためによりハンドリングはシャープである。ステアリングにのせた手を数ミリ動かすだけでクルマはすっと向きを変え始める。低扁平タイヤを装着するが意外なほどに乗り心地はよい。

動力性能はハイブリッドがモーターのアシストを得て低回転でトルクフルなのに対し、この370GTはより高回転型だ。フェアレディZに搭載されているエンジンだけにその吹けあがりはスムースで、サウンドも心地よい。ドライブモードセレクターがこちらも装備されているが、燃費は気にせず常にSPORTで走りたいところだ。

 

気になる弱点は?

フーガ・ハイブリッドに試乗して唯一気になったのはメーター。メーター内のマルチインフォメーションディスプレイは一世代前のもので小さく、白黒であるのは少しいただけない。マイナーチェンジでプレミアムセダンに相応しいグレードアップに期待したい。

これは弱点とは言えないが、ハイブリッドの静粛性の高さによりその他の環境音が多少気になった。エンジンが停止しているEVモードのとき、エアコンの風量変化や、回生時のモーター音が意外にも気になってしまうのだ。特にモーターの回生音は「ウーーーーーン」という、遠くでパトカーのサイレンがなっているような音に聞こえ、そのたびにビックリして回りを見てしまうことがあった。

これも一重に静粛性が高いから。オーディオを再生すればそういったことは気にならないどころか、オーディオホールのような快適な空間に身をゆだねることができるであろう。プレミアムなセダンが気になる方にはぜひ試乗をオススメしたい。

(野間 恒毅)