鳥取県岩美郡、国道9号線沿いに山陰の存在する岩井温泉。
知名度こそあまりないかもしれないが、1300年の歴史を誇る山陰最古の温泉として知られている。「国民保養温泉地」に指定されているのが本物の証だ。
「岩井屋」は創業130年、江戸時代から続く老舗旅館で、「日本秘湯を守る会」の加盟宿にもなっている。
小雨模様の山陰道を西に車を走らせていくと、左に小さい岩井温泉への案内板が現れる。標識の示す先には「秘湯の宿」のある温泉地というには拍子抜けするような田んぼの中ののどかな道が続いている。温泉街に到着すると温泉宿が点在し、「岩井屋」はそのひとつ、木造三階建てで趣きがある。
チェックインを済ませ、部屋に向かうまでの廊下のそこここに重厚な調度品が鎮座しており、なるほど宿の歴史を感じさせられる。
部屋で昆布茶を煎れていただき、館内の説明を受ける。日本百名湯にも選ばれたことのある温泉は自然湧出で掛け流し。しかも湯船だけではなく、シャワーにも掛け流しの温泉が使用されているというから、心は一気に大浴場へといざなわれる。
仲居さんが部屋を後にするやいなや、浴衣に着替えタオルと洗面道具を持っていそいそと大浴場へ向かった。