タイムトラベルパーキング
タイムトラベルパーキングでは国産、外車を問わずビンテージな車を大切にしているオーナーたちが集結、まさにタイムトラベルしたかのよう。
オーナー、そしてファン主体のイベント
このイベントの大きな特徴は、参加者主体ということだ。メーカーのプロモーションになりがちなモータースポーツイベントではなく、車両を持ち込むオーナーや、見て楽しむ観客が中心であること。
例えばデモレースではそれぞれのマシンオーナーが、往年のレジェンドたちと混じって走行、タイムや順位を競う姿が見られた。
マシンオーナーは「お宝」であるマシンをガレージにしまいこみ一人愉しむだけではなく、こうして世界的にも評価の高い鈴鹿サーキットのコースを走らせることで、自分たちが楽しむのと同時に、多くのファンたちにその姿を愉しんでもらえるのだ。まさに一石二鳥。
製造後時間が経過したクラッシックカーや、過酷なレースを走るレースカーだけに完調とはいえないものも多い。ミッションからはオイルが、ラジエータからは水が漏れだし、応急処置を施してだましだましの走行マシンもあった。
しかしそれぞれこの晴れの舞台で走行を自分たちのペースで走らせること、見てもらうことに意義がある。
タイムトラベルパーキングの車両も含めて最後に盛大にパレードランが行われた。
30年前に見て憧れたマシンたち。それを今こうして再び見ることがファンである我々にとって本当にうれしいことである。我々がときめいたあの感動を次の世代にバトンタッチすることが同時に我々世代の責務であろう。
日本社会では13年以上経過した自動車には自動車税の重課税が施されている。その理由は燃費、環境性能の優れた現代車に乗り換えを促進するためと言われているが、これこそ自動車を文化として理解していないことの表れである。
自動車は単なる荷車ではない。機械遺産の側面もある。
オーナーそれぞれが多大な努力をしながらビンテージカー、ヒストリックカーを維持をしている。走る機会はこうしたイベントだけであり、毎日乗るわけではない。それどころか遠い鈴鹿には自走で来れないためキャリアカーで運搬するほどだ。
毎日走るエコカーと年に数回走るヒストリックカー。トータルで見た時にどちらが環境負荷が高いのかといった細かなことを比較して云々するつもりはない。
ただ自動車の文化的側面、歴史的価値を認めてはじめて、日本が世界に肩を並べるのではないだろうか。そうして次の世代に伝えることができる、そんな思いを感じるイベントであった。
(野間 恒毅)
*SUZUKA Sound of ENGINE 2015|鈴鹿サーキット
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