■ランキングトップは東京都「港区赤坂」
町村ベースのランキングで1位に輝いたのは東京都「港区赤坂」の2,103人。再開発などでここ数年、注目を集めているが、住まう街としての赤坂の歴史は古い。
江戸時代、赤坂見附門が置かれたこともあり、大名や旗本の武家屋敷街、そして幕下藩士や町人たちの生活の場として街が発達した土地柄だ。明治時代には新政府の役人や公家が多く住み、近現代を通じてその時代をつくった人々が住んで来た街とも言える。
■都心回帰は続く
上記の港区赤坂以下、町村ベースランキングは下記のようになっている。
1位 東京都 港区赤坂
2位 東京都 渋谷区代々木
3位 東京都 新宿区西新宿
4位 東京都 港区南青山
5位 東京都 港区六本木
6位 東京都 港区高輪
7位 東京都 江東区大島
8位 東京都 新宿区新宿
9位 東京都 江東区亀戸
10位 東京都 港区三田
トップ10はすべて東京都。これは企業の数を考えると当然のことかもしれないが、興味深いのは都内においての「都心回帰」の流れが続いていることである。
以前は富裕層の住む街といえば「成城」「田園調布」といった、都心からは少々離れた閑静な住宅街のイメージが強かった。しかし昨今は「職住近接」「交通アクセス」などのポイントから、都心の街が人気となっているそうなのである。
例えば2位にランクインした渋谷区代々木は、近隣に明治神宮や各国大使館などが存在する環境の良さだけでなく、渋谷、新宿などの繁華街からもほど近く、まさに「便利な」高級地だ。
3位の西新宿もここ数年で超高層マンションが増え始め、ラグジュアリーな空気を纏い始めている。そして利便性は東京随一の土地であることは言うまでもない。
4位以下の南青山、六本木なども同様に、華やかさだけでなく利便性がピカイチだ。
また9位の江東区亀戸は、町工場や商店など中小企業の多い街であり、「職住近接」を重視する社長たちが多いことが感じられる。
トップ10の都心回帰ぶりからも、いまどきの社長たちが「高級住宅地」のステイタス感より、仕事に遊びに「使える」街を選んでいる傾向が見られるランキングとなった。
■東京都以外には
東京都以外では47位に神奈川県 三浦郡葉山町がランクイン。葉山御用邸のある由緒正しい保養地だ。
美しい海辺の街並、マリーナや上質なレストランなど、都心のリッチたちとはまた一味違うライフスタイルを求める社長も多いのかもしれない。
地方の町村では他に、48位に福岡市のベッドタウンである福岡県・筑紫郡那珂川町、74位に同じく福岡市のベッドタウンである福岡県糟屋郡志免町、84位にマツダの企業城下町である広島県 安芸郡府中町などがランクインした。
■県庁所在地の凋落
調査では、市区群別のランキングも発表されている。1位は東京都世田谷区となっている。そして、こちらのランキングもトップ10は東京都が独占することとなった。
地方都市では、14位に埼玉県川口市、15位に鹿児島県鹿児島市、20位に大阪府東大阪市などがランクインしている。
気になるところは、前回の同調査に比べて、各地の県庁所在地がランクを落とし、存在感が薄れていること。中心市街地の衰退が目立つ県庁所在地が多く、都心回帰の進む東京都とはまた違う動きを見せている。
自分なら都心回帰か、郊外で都心の喧騒から離れるのか……。どの街に住みたいのか考えてみるのもたまには面白い。
(くぼきひろこ)
*2014年「社長の住む街」調査(東京商工リサーチ)
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*クロロ / 7maru / Seaside / eson1m / PIXTA(ピクスタ)
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