この速さはタダ者じゃない!「Audi S1/S1 Sportback」試乗記

いったんドライバーズシートに乗り込み、重厚な質感のドアを閉め、剛性感のあるステアリングを強くゆすってみれば、コンパクトカーでありながらもやはりタダ者ではないことに気付くでしょう。

チャーミングな外観とは異なった精緻でシックな内装、そしてアルミのABCペダル。そう、このS1は6Fマニュアルオンリーの設定なのです。

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乗り味、スタイリング、ドライビングプレジャー……そしてMTのみの割り切った設定と実に興味深いパッケージを持つ1台。このクルマの本当の良さが「理解できる」には相当なクルマ道楽を歩む必要がありそうです。

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■控えめのスタイリングに秘められたリアルスポーツ

最初に書いておきますが、コレ相当速いです。これだけアスリートなのに「小さくてお洒落なAudi」に見えるところが、実はオトナにはうれしいパッケージかもしれません。

もちろんマニアが見ればニヤっとするスポーティーな意匠も施されていますが、決して大げさな「速さ」の演出ではなく、あくまで大人向けのスパイシーな味付け。「刺激を求める都市生活者」にこそ乗ってほしい見た目クールで実はアツい1台なのです。

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■ホットハッチとは呼びたくない、 高密度なドライビングフィール

さて、試乗です。ワインディングを走ってみると、コンパクトにもかかわらずとても濃厚でしっとりした走りに驚かされました。いわゆるホットハッチ的な軽妙なフィーリングとは一線を画す、クアトロの安定感と重厚感がまずは凄い。スマートで都会的なこのS1ですが、それを裏切るように「骨太でしかも濃い」走りをこれでもかと繰り出してきます。

まずはエンジン。ターボ過給の2.0 TFSはドラマチックな回り方こそしませんが、どの回転域からも即座に反応し、かつ鋭い加速がまるでどこまでも続いていくようなフィーリング。外観からは考えられないパンチ力に初めて乗ったドライバーはビックリすることでしょう。

ただ速いだけではありません。この鋭い加速に「身を任せられる感」があるのは、Audiに共通する「ガッチリ」とした剛性感と「フルタイム4WD」の恩恵からに違いありません。

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■魔法のコーナーリング

今回の試乗で一番感動したのは、コーナーリング。どんなスピード領域からもステアリングを切る分、グイグイと曲がっていく感覚です。オンザレールとはまさにこのことでしょう。まったく癖がなく、思い通りに操れる。見切りも抜群なので運転が非常にうまくなったような錯覚に陥ります。

これもAudiの4WDシステムとスポーティーに設定された電子マネージメント、そして熟成された足回りのセッティングの緻密なバランスの成果にほかなりません。このたたずまいにして、この走り、そしてこの高次元のスタビリティ、これこそ正真正銘の「オトナのスポーツカー」です。

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■奥さんや子どもには絶対キーを渡さないクルマ

都会の風景にも良く馴染む洗練されたデザイン、楽しい色味、全長4mを下回る小さなボディーと、セカンドカーに最適なこのAudi S1。

「お父さん、ちょっとクルマ借りるね!」といわれそうな1台ですが、「MTだから」ときっぱり断りましょう。こんな情熱的なクルマは愛人のようにこっそりと所有すべきです。

休日の早朝にでも、ナイショで連れ出すのがこのクルマとの付き合い方。軽く汗をかいたら、午後にはしれっと奥さんを助手席に乗せてショッピングにでも付き合ってあげましょう。取り回しの良さや洗練されたスタイリングは街中にもよく馴染むはずです。

「情熱的な走りと洗練性。」この2つを兼ね備えたS1は絶対あなたを飽きさせることはないはず。さまざまなクルマを乗り倒した最後に行きつくクルマ、クールな中に熱いモノを秘めたこのS1こそ「オトナ」の最高のパートナーに違いありません。

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