「誰でも乗れる…」ということから市販車に毛が生えたモデルを想像するかもしれないが、CCS-Rは本格的なスペックが奢られている。ホワイトボディから製作された車体にロールケージ、低められた車高にスリックタイヤ、カーボン製の空力パーツインテリアは不必要な装備は外され、ロールケージやバケットシートも装備。ちなみに車両重量はノーマルより300kg軽量化されている。
ただし、エンジン(V8-5.0L)とトランスミッション(8速AT)は市販モデルとほぼ同じ。車両挙動安定装置(専用セットのVDIM)も装着。走りの味付けも市販車に近いハンドリング、応答性の感覚が残されている。
■IS Fの(CCS-R)の実力は?
実は筆者はこのマシンを雨の富士スピードウェイ・本コースで試乗させてもらったことがあるのだが、路面状況の悪い中で500ps近いFRのレーシングカーにも関わらず「楽しい~」と言う言葉しかでなかった。ドライバーの操作に忠実でダイレクトな感覚が非常に強いのにピーキーな所はどこにもない。車両挙動安定装置も付いているのだが、クルマ任せではなく、ある領域まではドライバーに対処させようとする懐の深さ、レーシングカーなのに市販車のようなコントロール性の高さに「人馬一体」な印象を受けた。誰にでも乗れるけど奥が深いモデルだった
レーシングカーと言うと「クルマと格闘する…」というイメージがあったのだが、CCS-Rに乗って考え方が全く変わった。いいクルマは運転が楽だと…。
CCS-Rは「誰でも乗れるレーシングカー」と言うことで、“速さ”よりも“楽しさ”が重視されたマシンではあるものの、クルマ自体のポテンシャルは非常に高い。ドイツで開催されているVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)にフル参戦しており、フェラーリやアストンマーティンなどを相手に、2年連続でSP8クラスのシリーズチャンピオンを獲得している。
■RC F CCS-Rは?
そんなCCS-RはRC Fでも引き継がれるようだ。RC/RC Fのメディア向けの撮影会/試乗会の会場には、それを匂わすモデルが展示されていた。開発責任者の矢口幸彦さんは、以前インタビューで「IS FはセダンボディですのでCCS-Rでも全高が高かった。そのためVLNのグリッドに並ぶと前後は背の低いマシンばかりで(笑)。」と語っていたことからも、念願のクーペボディでもある。
メカニズムなどの詳細は未発表ではあるものの、車両を見る限りはIS F「CCS-R」と同じコンセプトで開発されているはずだ。市販車でのIS FからRC Fの走りの進化を考えれば、RC F「CCS-R」は“速さ”も“楽しさ”のレベルも大きく引き上げられているのは間違いないだろう。
RC Fはこれからの量産車はもちろんレーシングカーも含めて、トータルでレクサス「F」を引っ張るイメージリーダーとなる。見るためのレーシングカー「GT500」、参加するための本格レーシングカー「GT3」、そして楽しむためのレーシングカー「CCS-R」、ナンバー付きの本格スポーツモデル「RC F」、そしてレクサスFの世界観を味わう第一歩の「Fスポーツ」。このように市販車とレーシングカーがより繋がることで、モータースポーツもより元気になってくれると嬉しい。
■発売の予定は?
ちなみにIS F「CCS-R」の販売は正式にはアナウンスされておらず、ある意味“裏メニュー”な存在(テスト販売!?)であったのだが、RC F「CCS-R」は全国のレクサスディーラーで誰でも購入できるモデルとしてリリースして欲しいと願っている。
<山本シンヤ>
【関連記事】
レクサス本気の「F」が正式発表!【レクサスRC F詳細解説】
加賀から能登へ。秋を味わう旅【LEXUS×VOGUE JAPAN アメイジング エクスペリエンス in 金沢レポートその2】
- 1
- 2