観念に遊ぶ「べにや 無何有」の極上ステイ—旅の終わりはふたたびの金沢【LEXUS×VOGUE JAPAN アメイジング エクスペリエンス in 金沢レポートその4】

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【1】【2】【3】からのつづき

2夜目の宿の名前は『山代温泉べにや無何有』。空間に哲学が宿るようなその建物は、名建築家・竹山聖の手によるものだ。その名に、宿の持つ魅力が表されている。

“無何有”とは、荘子が好んで使った言葉だという。何も無いこと、無為であること。そんな「余白」の豊かさを味わう宿なのだ。無何有境を体現するごとく、その場所で味わった時間はすべてどこか中空に浮いたような感触をともなった。身を委ねればくつろぎを超えて、消え行くような感覚に恍惚を感じるような、とても不思議な体験だった。