世界のプレミアムブランドにあってレクサスにないもの、それは2ドアのクーペモデルである。過去にラインナップされていた「Jewel of LEXUS」と呼ばれた「SC」や、先代ISがベースのオープンモデル「IS C」もすでに販売が終了している。
そんな中、レクサスの「エモーショナルな走り」のイメージを牽引するモデルとして久々にクーペモデルが登場、それがRCだ。ノーマルモデルは昨年11月の東京モーターショー、Fスポーツは今年3月のジュネーブショーで世界初公開され、海外向けモデルの試乗記などは、様々な自動車メディアですでに掲載されているが、今回は正真正銘の右ハンドル・日本仕様である。
■ISとは全くの別物である
エクステリアを見ると「あっ、ISのクーペモデルね」と思う人もいるかもしれない。しかし、共通なのは基本的なデザインモチーフのみで、「アヴァンギャルド・クーペ」というデザインテーマに合わせ、フロントからキャビン、リアへと連続する一体感のあるプロポーション、グラマラスなフェンダー処理、そして三眼フルLEDのヘッドランプなどは、“クーペ専用”としてデザインされている。ISも同クラスのセダンとしては攻めた方向のデザインではあったが、RCはそれ以上だ。正直、好き嫌いも出るかもしれないが、レクサスクーペのフラッグシップとして、より強烈な“個性”が必要だったのだろう。ボディカラーは新規開発色である「ラディアンレッドコンストラストレイヤリング」を含む全10色を用意。
インテリアは基本的にはISと共通ながらも、専用の「アナログ時計」やレクサス初採用となる、走行状態と連動して光量を調節する「アンビエントイルミネーション」、各種操作が指先操作で可能な「タッチトレーサー」の採用といったように細部はRC専用となっている。インテリアカラーも数多くのコーディネイトが可能のようだ。
■走りはさらなる次元へ
走りの部分では、高い評価を得ているISから大幅に進化している。「いい走り」には「いい骨格」が必要…ということで、フロントセクションはGS用をベースにRCに最適化させることで骨格をより強化。他のレクサス車にも採用されるレーザースクリューウェルディングやボディ接着剤に加え、RCでは新たに「高剛性のガラス接着剤」も導入された。
このボディに専用セットアップのサスペンション&ステアリングを組み合わせることで、俊敏で応答遅れのない高レベルのハンドリング、クーペならではの快適性を両立したという。また、フラット化を徹底したアンダーフロアやエアロスタビライジングフィンの装着により、空気の流れを車両安定性に利用する「空力操安」もおこなっている。
■2種類のエンジン
パワートレインは2タイプ用意され、RC350にはV6-3.5 L+8速SPDS(スポーツダイレクトシフト)、RC300hに“次世代D-4S”搭載の直4-2.5Lエンジン+モーターのハイブリッドが組み合わされる。
RCにはレクサススポーツ「F」の血統を継承するFスポーツも設定。FメッシュパターンのスピンドルグリルやLFAのメーターをモチーフにした単眼の液晶メーターなどの専用アイテムはもちろん、ノーマルモデルよりも運動性能が引き上げられた専用チューニングのサスペンションも奢られる。また、RC350 Fスポーツには、VGRS(ギア比可変ステアリング)、EPSと後輪の切れ角を統合制御するLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)も採用される。
安全面は先進技術を多数採用。進化したBSM(ブラインドスポットモニター)やRCTA(リアクロストラフィックアラート)、プリクラッシュセイフティシステム(ミリ波レーダー式)、LDA(レーンディパーチャーアラート)、AHB(オートマチックハイビーム)などが用意されている。
RC350、RC300h共に、ノーマル/Fスポーツ/バージョンLの3グレード用意されており、価格は565.0~678.0万円となっている。
<山本シンヤ>
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