スーツは絶対ビスポーク(注文服)が正義!……というわけではない。
短い期間で手に入り、職人との相性に左右されることもなく、何より今一番カッコいいスタイルを間違いなく取り入れているのが高級な既製服だ。品質はもちろんお値段のほうも相当。20万円前後から上は100万円近くにものぼる超高級スーツブランドを5つご紹介。
■Brioni(ブリオーニ)
既製スーツの最高峰といえば断然ブリオーニである。各国首脳やセレブたちに愛され、ついにはジェームス・ボンドにイタリア服を着せてしまった筋金入りのイカしたスーツだ。
既製服もオーダーメイドと同じ工程でつくられていて、ローマンスタイルの華と貫禄、そして柔らかな仕上がりが印象的。
■GIORGIO ARMANI(ジョルジオ・アルマーニ)
ジョルジオ・アルマーニの魔法のパターンは、スーツの概念を変え、既製服の地位を押し上げた。
数あるアルマーニのラインの中、高級なスーツならもちろん『ジョルジオ・アルマーニ』のもの。ビジネスユースなら『アルマーニ・コレツォーニ』を。柔らかな色気、リラックスした贅沢感。美しい男を自然に描き出す帝王ジョルジオ・アルマーニの仕事はいまだ衰えず、「アルマーニはアルマーニなのだ」というところのアルマーニ感を発揮している。
ナポリ仕立てのしなやかな美しさが何よりの魅力。ブリオーニと並ぶクラシコ・イタリアの最高峰だが、「クラシコ」のイメージはキートンのほうがより強いかもしれない。
現時点でHPに掲載されているスーツの値段が80万円強と既製服では超高価ではあるが、セーターのように体に添い、体の動きで寄るシワの1本まで美しいようなイタリア服の神髄を味わえる最高級ブランドだ。
紳士用品のイメージも強いが、スーツのブランドとしても有名。英国らしいまさに『紳士』といったスタイルをつくってくれる。
創業者のアルフレッドは「モートリティーズ」というコンセプトを創り出し、クルマの愛好家へアイテムの提案をしたという。現在も自動車への愛着を感じさせるブランドでもある。
■Ermenegildo Zegna(エルメネジルド・ゼニア)
まず世界屈指の高級生地ブランドである。一流のテーラーやブランドがこぞって使うのがゼニアの生地だ。なので「ゼニア」の……とスーツに関する会話に出てきたら、服のことかもしれないが生地のことかもしれない。(前記ダンヒルも同様)
ともあれ、最高の生地を知り尽くした一族が手がける自社ブランドの既製服もまた超一流である。
どのブランドのスーツも、大変ステキで、ステキがゆえに靴や小物、着る人のライフスタイルにまでもラグジュアリー感を要求する大人の逸品だ。
今一度、既製服の魅力を見直してみるのはいかがだろうか。
(くぼきひろこ)