靴の選び方には、その男性の日常に対する姿勢があらわれる。そして、その良し悪しで値踏みされる場面も少なくはない。
素材・デザイン・履き心地・思想……超一流と言われる靴のブランドを5つご紹介。
■JHON LOBB(ジョン・ロブ)
やはりジョン・ロブ。素材・技術・品格、どこをとっても文句のつけようのない世界一の靴屋さんである。
イギリスのイメージが強いが、ロンドンの店以外は1976年にエルメスグループの傘下へ。現在イギリス以外のビスポーク(オーダーメイド)や既製靴のすべてはパリのロブによるもの。イギリス靴の伝統と、デザイン性や洗練を共存させている。そしてもちろん革の確かさは言うまでもない。
またロンドンには創業者一族の手がける「ジョン・ロブ」が存続しており、ロブパリとは紳士協定的に併存している。好事家には「ロブ・ロンドン」と呼ばれそのビスポークはまさに憧れの1足だ。
■EDWARD GREEN(エドワード・グリーン)
上記のジョン・ロブと双璧をなすイギリス靴の超一流ブランド。靴の聖地ノーザンプトンの小さな工房では、常に「上質であること」を使命とした靴がつくられている。
時代の空気を品良く取り入れながらも、堅牢で慎み深いブリティッシュテイストを色濃く守る。
相当にカジュアルなデザインのものを選んでも、常に清潔な格を漂わせるまさに紳士のための靴である。
■Silvano Lattanzi(シルヴァノ・ラッタンツィ)
ラッタンツィを逆に読んだ「ジンターラ社」のシグニチャーライン。
すべて手仕事でつくられる靴は、イタリアらしい艶や粋を感じさせ、しばしば「芸術的」と評される。クラシコイタリア再興を牽引したブランドの1つでもあるが、現在はそれ以外のデザインも豊富。ジンターラ社にはほかにセカンドラインの「ジンターラ」、シルバノ氏の息子の展開する「パオロ・ラッタンジ」がある。
※蛇足であるが、HPが妙に面白いのでおススメ。紙芝居的に楽しめる工程の紹介や、シルバノおじさん(とでも呼びたくなる雰囲気の創業者シルヴァノ・ラッタンツィ氏)の一代記なども楽しい。
■CorthaY(コルテ)
ジョンロブ、ベルルッティで経験を積んだピエール・コルテ氏が独立したのは、1990年わずか28歳のとき。あっという間に名だたる老舗と肩を並べた躍進ぶりは凄まじい。
高いデザイン性、カラーの面白さと、エレガントな遊び心は贅沢そのもので、高級紳士靴の中でも群を抜いてお洒落で垢抜けた印象を与えるブランドだ。当初はビスポークのみであったが、現在は既製靴もつくっている。
■ARTIOLI(アルティオリ)
しなやかで華奢な色気を演出する『マッケイ製法』の粋を味わうならアルティオリの靴。
既製品でも相当に高価なものが多いが、なめしに化学製品をつかわないなど工程の一つ一つにこだわった逸品ぞろいだ。
1945年の創業以来たくさんの著名人に愛され、ブッシュ氏と今は亡きフセイン氏が同時に愛用していたとかいないとか、とにかくセレブ感あふれるブランドでもある。
靴ほど個人と密接に関わるアイテムはそうそうないもの。皆さんが自分の足、スタイル、美学にはまる運命の一足と出会えますように。
(くぼきひろこ)