先日、日本導入となったメルセデス・ベンツの新型「C クラス」。「メルセデスの本気」というキャッチコピーに違わない、メルセデスの「本気」で満ち溢れているニューモデルだ。新型「Cクラス」は「アジリティ&インテリジェンス」をコンセプトに先代モデルから劇的な進化を成し遂げた。
まずは「アジリティ」。中でもキーとなるのが「アルミニウムハイブリッドボディ」だろう。ボディにはアルミニウムの使用率を先代モデルの10%から48%に高めるとともに、高張力鋼板を適材適所に採用している。その結果、ホワイトボディで70kgの軽量化と高いボディ剛性の相反する要素の両立を実現した。アルミニウムとスチール等の異素材を接合させるために「ImpAct(インパクト)」という接合技術を量産車の生産に世界で初めて導入した。素材選びや設計、生産工程にいたるまで最新技術を投入して実現した「アジリティ」は新型「Cクラス」の要といえる。
そしてもうひとつのコンセプトである「インテリジェンス」。新型「Cクラス」には、メルセデスが世界ではじめて実用化したレーダーとカメラによる先進の安全運転支援システム「インテリジェントドライブ」が標準装備となる。ステレオマルチパーパスカメラや6つのミリ波レーダー等のセンサーを駆使して車両の周囲を常にモニタリング。これにより状況を判断して、アクセル、ブレーキ、ステアリングを自動で操作する「部分自動運転」を可能とした。
「アルミニウムハイブリッドボディ」や「インテリジェントドライブ」以外にも「アジリティ&インテリジェンス」を感じさせる要素はふんだんに盛り込まれている。これらの要素の大半はフラッグシップモデルである「Sクラス」で既に導入されているテクノロジーばかりだ。クラスを超えて最新のテクノロジーを新型「Cクラス」に惜しみなく投入するところは、メルセデスの企業理念である「最善か無か」が復活したと言っても決して言い過ぎではないだろう。まさに「メルセデスの本気」である。
「Sクラス」からさまざまなテクノロジーを受け継いでいる新型「Cクラス」は、内外装のデザイン面でも「Sクラス」に似ている。これは「Sensual Purity(官能的な純粋さ)」というメルセデスのデザイン思想が、「ロングノーズと短いフロントのオーバーハング」といったメルセデスFRセダンの伝統ともいえるスタイリングに反映しているからだ。出来る限りシンプルに無駄を排したデザインは、メルセデスらしい上質さと高級感をもたらしている。
そうは言っても、「ベイビーSクラス」ともいえる新型「Cクラス」、外観上の大きな違いがある。日本にはフロントグリルに「スリーポインテッドスター」をマウントしたアバンギャルド仕様のみの導入となる。先代モデルではボンネットにマスコットを配した「エレガント/クラシック」がラインナップされていたが今回は導入されない。個人的には残念ではあるが、少なくとも日本では「Sクラス」と見間違えることはなさそうだ。