チェコ東部、文化財の街・オロモウツを象徴する2つの大きな教会

チェコ東部、オロモウツの街はかつてモラヴィア地方の中心部だった。

日本の都市に例えるなら、首都プラハは京都、オロモウツは奈良といった風情に思える。古き良きものが多く残るのも、この街の特長だ。

コンパクトにまとまった心地良い街。

観光の中心は、広場にそびえ立つ世界遺産の「三位一体柱」と旧市庁舎だ。そして教会も多い。

旧市庁舎のすぐ側に建つ「Kostel sv. Mořice(聖モリツ教会)」は、中央ヨーロッパで最大級のパイプオルガンを所有しているゴシック様式の教会。なんと10,400本ものパイプが並んでいる。

今でも毎年「国際オルガンフェスティバル」で曲を奏でているのだという。一体どのような音になるのか、ぜひ聞いてみたい。

この教会の脇には、石造りの塔が寄り添うように立っている。その隣には円柱の細い塔。ここから登るようになっているのだが、中を覗いてみると狭い螺旋階段が天に向かって延びていた。どこまで続くのか、終着点が見えない程である。

狭くて暗い上に、螺旋階段の回転半径が小さいものだから、目が回りそうになった。しかし面白いのは、この階段は二重螺旋になっており、上る人と下る人とでは鉢合わせしない造りになっているのだ。

螺旋階段を上りきると、広い部屋にたどり着く。ここが鐘楼であり、更に上に登れるようになっていた。その階段を上ると外に出られて、塔の上に降り立つ。教会の屋根よりも高い位置になるので眺めはいい。

登るのには多少苦労するが、ここからはオロモウツの街も、遠くの景色もよく見えるのでおすすめだ。

少し離れた小高い丘の上にそびえるのは「Katedrála sv. Václava Olomouc(聖ヴァーツラフ教会)」。プラハに次いで2番目に高い尖塔を有する教会で、1131年に建てられたロマネスクの建造物である。

手前の入り口に面して二本の塔が建ち、南側に一番高い塔がそびえている。約101メートルあり、チェコで最も重い8トンの鐘が吊されている。

内部は落ち着きがありながら非常に豪華で、ステンドグラスの美しさに目を見張る。

モラヴィアの人々の技と伝統を、教会で垣間見る気持ちだった。

(田原昌)