白骨温泉や奥飛騨温泉郷などと比べると知名度が低い沢渡(さわんど)温泉であるが、雄大な山岳風景が間近に迫る上高地への玄関口にありその価値は高い。
今回はさわんど温泉の梓川のほとりに建つ湯宿「渓流荘 しおり絵」を紹介しよう。
しおり絵は1階に温泉露天風呂付きの部屋が4室、2階に梓川の見える一般客室が4室の小ぢんまりとした温泉宿。
宿に到着するとロビーで熱いお茶と手作りのパウンドケーキが提供され、冷えた体もすぐにほっこりと温まる。
窓の外の雪景色の中庭を眺めながらのチェックインのあとは畳敷きの廊下を通り部屋に案内される。
宿泊したのは露天風呂付きの「小梨」の間。和室の座卓は炬燵になり冬の設え。
部屋付きの露天風呂は竹囲いの中の植え込みも雪で埋まり囲いの外の景色とともに冬一色。
大浴場は洞窟露天風呂で、男湯「次男つかさの湯」と女湯「長女のぞみの湯」。
露天風呂にはあつ湯とぬる湯に分かれており、熱い湯が苦手でもゆっくりと浸かることができる。夜間は空いていれば貸切湯として利用できる。
予約制の貸切湯「長男ゆうたの湯」は檜の内湯。こちらも夜間は空いていれば自由に入れる浴場となる。
食事は畳にテーブルと椅子の半個室の食事処に用意される。
ドリンクは生ビールからウィスキー、手作り果実酒、自家製朝鮮人参酒、スパーク・リ・ヴァン(日本酒の発泡酒)等々や信州老舗の酒蔵からお勧めの銘柄を3種用意。
食前酒は香り高い手作りのかりん酒。
料理は信州の食材をふんだんに使った会席料理が一皿ずつ運ばれてくる。
大鱒のお造りには宿名のしおり絵にちなんだ栞(しおり)を模った薄切りの大根が。
岩魚は温泉宿には珍しい香草焼きでこれも美味しい。
飛騨牛のサーロインは表面は香ばしく焼かれ、噛めばジューシーな肉汁とともに旨みが溢れる。
凌ぎの蕎麦は女将の手打ち。どれも手の込んだ料理でそれぞれの味わいに舌鼓。
食事を終えて部屋に戻ると布団が敷いてある。足元のふくらみの正体は湯たんぽである。
静かな環境の中、料理も美味しく貸切温泉も堪能できる、ゆったり過ごすのに最適な宿であった。
住所:長野県松本市安曇4170-4
電話:0263-93-2642
渓流荘 しおり絵 公式サイト
(小椚萌香)