甘党を悩ませる老舗菓子舗。京都「御菓子司 中村軒」

創業1883(明治16)年の「中村軒」は京都桂離宮のすぐ南に建つ老舗の菓子舗。

名物「麦代餅(むぎてもち)」や「かつら饅頭」をはじめとする各種まんじゅう、季節の和菓子を買い求める客が絶えない。

特に夏場はかき氷を目当てに訪れる客が多く、休日ともなれば長い行列ができる。

趣深い建物は1904(明治37)年に建てられたもの。

店頭の左右にショーケースがあり、麦代餅や美しいアジサイをかたどった「あじさい」、涼し気な「くず桜」をはじめとする季節の和菓子が並んでいる。

店内の奥の座敷が中村軒の茶店となっており、和室に座卓と座布団の設え。坪庭の手前の廊下を右手に進むと、さらに座敷と部屋があり椅子とテーブル席も用意している。

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混雑していなければ、坪庭の見える席に座るのも季節が感じられてよい。夏はどこからか迷い込んだトンボが、空中でホバリングをしていたり枝先で羽を休めている。

坪庭の手前の和室は、桃の節句には雛人形・端午の節句には大将人形が大きな雛壇に飾られ、こちらも一見の価値がある。

中村軒の和菓子はすべて国産で、北海道産あずき、備中産白あずきなど厳選した素材を使用する。餡は昔ながらのおくどさんで、職人が炊くという手間を惜しまずに作られた本物の味が楽しめる。

中村軒には愛宕山の伏流水といわれる水が湧く井戸があり、すべての菓子作りにこの井戸水を使う。

客席に出す水も、この井戸水を使っている。

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4月下旬から9月まではかき氷や冷やしぜんざいの春夏のメニューとなる。

季節限定「フレッシュフルーツの氷」は6月までは「いちご」、7月は「マンゴー」、8月は「すだち」、9月は「いちじく」と変わる。

定番のあんみつ、冷やしぜんざいなど甘党には選ぶのが悩ましいところ。

お薄(うす)とセットで日持ちのしない朝生菓子のできたてもいただきたい。

小腹が減っていれば、そうめんとうなぎ茶漬けの軽食の用意もある。

駐車場は店舗の裏や少し離れた場所にあるが、休日は空くまでにかなりの時間を要す場合もあることを覚悟しておいた方がよい。

住所:京都市西京区桂浅原町61
電話:075-381-2650
サイト:http://www.nakamuraken.co.jp/

(小椚萌香)