真夏の涼を求めて立山黒部アルペンルートを行く

暑い夏にぴったりな冷涼な気候を求めて「立山黒部アルペンルート」を訪れた。

長野県大町市から富山県富山市を結ぶ、山を越え、山を突き抜けていく雄大なルート。

なかでも、扇沢~立山駅間は季節運行となっており、立山の豊かな自然を守るため、電気等を使ったエコな乗物で越えて行くことができる。

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まずは国内ではここだけに走るトロリーバス「関電トロリーバス」で、赤沢岳2,678mの真下6.1km区間を抜けていく。

黒部ダム建設の時に造られたトンネルで、建設中に水が噴き出して難工事となった「破砕帯」を通り、長野、富山の県境を通る。

ひんやりとした空気、長々と続くトンネル。今でこそ我々はトロリーバスで気軽に行けるようになったが、トンネル工事の苦労を忍ばずにはいられない。

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トンネルを抜けると、そこに待っていたのが黒部ダム。

日本有数の大きさを誇るダムであり、その真上に立つとあまりの巨大さに息を呑む。これが多くの犠牲を出しながらも、人の手で出来上がったというのだから頭が下がる。

真上だけでなく、山の上からも、真横からもダムを見られる展望台があるので、ぜひ立ち寄ってほしい。運が良ければ、虹が架かっているのを目にできる。

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次は黒部湖駅からトンネル内を走るケーブルカーに乗って急勾配を上がり、約400m上にある黒部平駅を目指す。

黒部平でロープウェイに乗り換えて、今度は標高2,316mの「大観峰」に行く。

このロープウェイからの景色が素晴らしい。ぐんぐん上がっていくと、背後には後立山連峰とダムによってせき止められた黒部湖の深い緑色が見えてくる。

正面には残雪のある立山。自然の雄大さをゆったりと楽しめる時間だ。

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大観峰から黒部谷の美しさを楽しんだ後、やはり電気で走る「立山トンネルトロリーバス」で3,015mの立山を抜ける。そうして反対側に突き抜けると、室堂(むろどう)に到着だ。

室堂平は標高2,450mで、高山植物の花畑が広がる緑豊かな美しい場所である。

目の前にそびえ立つ雄山、浄土山、別山の立山三山の雄大さに見とれてしまう。

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「みくりが池」や「みどりが池」の綺麗な水、可愛らしい「タテヤマチングルマ」や「ゼンテイカ」が咲いているのを楽しみながらの散歩は気持ちいい。

日本で最も標高の高い温泉である「みくりが池温泉」に浸かって一休みするのも一興だし、室堂平から弥陀ヶ原をぐるりと巡る事も出来る。

自分の体力に合わせて好きなルートを巡れるというのも、室堂平の魅力の一つだと思う。

そして国の天然記念物である雷鳥に出会うことが出来れば、最高の思い出になるに違いない。

(田原昌)